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アトランティス全8巻 6 21

by eiga



魂をも溶融させかねない莫大な白金光の中で、イフィシスたちの意識は激流に弄ばれる枯れ葉さながらに押し流された。
 厖大な光の洪水に塗りつぶされた空間の彼方に、突如として巨大な旋回運動が生じた。
 《あれは、すごい渦だわ》。
 光の空間の中央に生じた右まわりの強い流れは、凪ぎの海面に生じる渦潮さながらに、急速な大渦を形成しはじめていた。
 周辺に存在する光の海は、回転する潮流となって、全ての光をその中心に巻き込もうとしていた。
 星を継ぐものと三人の女神は、宇宙の中心存在が関与する生命の霊の急潮に、なすすべなく飲み込まれていく。
 巨大な渦潮にも関わらず眩暈や眩惑の感覚は皆無だった。
 音もなく、跳ね飛ぶ飛沫もない、稠密な光の粒子からなる輝く大渦は、物質世界の海水や大気の渦の発揮する破壊力を寸毫も持たなかった。
 ただただ圧倒的な容量を持つ意識の潮流が、星を継ぐものさえ微塵に思わせる広大さで、そこに落ち込んだ四つの生命を滑らかに運ぶばかりである。
 全ての星々を包含する永遠無限の光世界に、時間は没し去り、質量も空間も意味をなさないものとなった。
 いまや両手に握り締める月の女神と大地の娘の手のぬくもりだけが、意識をつなぎとめる唯一のよすがだった。
 互いに手を繋ぎあわせることで、懸命に心を支えている三名の女神に、前方を先導する星を継ぐものはごく当たり前のように告げた。
 「あれを見るがいい。
 既に確定された未来が、あの渦の中心から見えてくる」。
 星を継ぐものの言葉を追って、前方の大渦は《輝き》を強め、黄金の銀河の渦さながらに広がり続ける。
 彼の巨大な力が発動され、自身と三女神を未来の通常空間に送りこむべく、時空を超越する能力が行使されているのだった。
 「見て、あそこに」。
 大地の娘ウルラが、イフィシスとエリエノウに前方を指さした。
 彼らは、驚異の地下宮星の間から、厖大な光の世界に跳躍し、今やその核心に迫りつつあった。